映画「君たちはどう生きるか」

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 先週末、宮崎駿監督作品の最新作「君たちはどう生きるか」を観てきました。
まず感想から書きます。私独自の解釈です。
この映画は宮崎駿監督から

(この映画を観て)「君たちはどう感じるのか」

というなぞかけを仕掛けられた気分になりました。

前作「風立ちぬ」のように若干長めの予告編をかけまくった宣伝とは真逆の、一切情報なしの戦略。
プロデューサーの鈴木敏夫さんの作戦だそうですが、私は逆に
「宣伝することにより、観客にヘンな先入観持たせてしまうから止めておこう」

と考えたのではないかと思います。
(あるいは予告編作りにくい作品だと判断したのかも?!)
また、糸井重里さんにこの映画のキャッチコピーを頼むにしても、難しいのではないかと思います。
(以下ネタバレ含めて感想書きます。一応10行空けまます)
あ、そうそう、私としては、予備知識ゼロで観に行くことをお勧めします。
(というよりも、この情報溢れ過ぎなこの世の中で、何も予備知識なしで映画を観るということを体験していただきたいです)
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3
2
1

この映画を1行で紹介するのであれば
宮崎駿さんの少年時代をベースにしたファンタジー
と私は言います。
また、巷での評価は賛否両論になっているのは、すごくよくわかります。

私も途中は「???」でしたが、最後のほうでいろいろ推測したら、面白くなってきました。


 物語の冒頭は前作「風立ちぬ」のような戦中の日本。
おそらく「風立ちぬ」のアナザーストーリー的なものかな、、、、
と思っていたら、あのイラストに出てきた鳥(アオサギ?)のような妖しい魔物(?)が出てきて徐々にファンタジー色が出てきます。
主人公が死んだ(とされる)母に会いたい、という物語自体、今までの宮崎作品の中では異質です。
また、老婆が7人出てきますが、これは白雪姫の7人の小人を意識したのではないかと思います。
その他にも主人公が母を探すために行動していると、いろいろな人たちに出会います。
ひょっとすると、宮崎さんの少年期に会った方々を表現しているのではないかと思います。
物語の途中で、家の中に飛行機の部品(キャノピー)がたくさん運ばれるシーンがあります。
このことから、主人公=少年期の宮﨑さんをモデルにしたのはほぼ確定だと思います。
(宮﨑さんの実家は、飛行機の工場を経営していたそうです)

 ただ、私の場合、この物語全般を通してへんなところに目が行っていました。

それは「鳥のフンの描写」です。

冒頭のアオサギから後半のインコの軍団(?)まで数多くの鳥が出てきます。
鳥たちの落としもの、しっかりというかさりげなくというか、当たり前に描いています。

わざわざ描写しなくてもいいのでは?
と思いましたが、

「逆に何か意図があるのでは???」
と推測すると意外と面白くなってきました。

 

鳥=民衆、世の中の噂・誘惑、SNS同調圧力
鳥のフン=他人への悪口、攻撃、現代ではSNSでの炎上

 

を表しているのではないかと推測しました。

物語の終わりのほうで、主人公たちはたくさんの鳥のフンが自分に落ちてきたのを気にしないで力強く生きていく姿が見られます。
これは、「他人の悪口やSNSでの炎上で害を受けることがあるかもしれないけど、強く生きて行けよ」ということではないかと思います。

まあ、考え過ぎと言われるかもしれませんが、、、、

その他に気になったことを2点書きますと、、、、、

1.映画での音楽、前半はピアノ中心で音数もそんなに多くなくて、なんだか坂本龍一さんの近年の作品のような感じでした。
ひょっとすると、久石譲さんの坂本龍一さんへの追悼的な意味合いがあるのではないかと思います。
2.後半の帆船で荒波の中進んでいく様子を観ていたら、「このクオリティで未来少年コナンをリメイクしたら面白いんじゃないの?」って考えてしまいました。

いつもよりかなり長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。