初めて聴いたのは35年前

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 昨晩、ブログで冨田勲さんの「月の光」について書きました。あのあとtwitterなどのコメントを見てみると、「次のパリ大会にちなんでフランス作曲家ドビュッシーの曲で、しかも世界的に評価された冨田さんのアレンジ版を持ちいて東京からパリへつないだという演出なのでは。」というようなコメントがあり(すみません、出展忘れました)、なるほどと思いました。

 おそらくいまの10代20代の方々は、冨田勲さんを知らない人がほとんどと思います。

日本を代表する作曲家の一人であり、また日本での電子音楽のパイオニアでもあります。その冨田さんが1974年にシンセサイザーmoogでアレンジして発表したのが月の光。それがビルボードチャートの上位に食い込んだり、グラミー賞にノミネートされたりと、当時とても高く評価されたようです。その数年後日本のみならず世界中で人気のあったYMOにおいて、電子楽器のマニピュレータ=4人目のYMOといわれた松武秀樹さんは、冨田勲さんの下で電子音楽の修業をしたんです。

 これは私の極論ですが、冨田さんがシンセサイザーに着手しなかったら松武さんも修行できず、YMOも生まれなかった可能性があるんじゃないかと思います。

冨田さん自身は数年前に亡くなられましたが、冨田さんの音楽が令和にも聴き継がれることを嬉しく思います。

 なんで冨田さんについて書きたくなるのか?それは冨田さんの「月の光」が自分の人生の中で大きなインパクトを受けた音楽の一つだからです。

 冨田勲さんの月の光を始めて聴いたのは、35年前(昭和61年)中学2年生、音楽の授業でした。印象派を代表する作曲家として、ドビュッシーが取り上げられていました。そのドビュッシーの代表曲の一つ「月の光」を拝聴するとき、当時の音楽の先生が

「今回は冨田勲さんのアレンジ版を聴いてもらいます。」

と言って、そのアレンジ版を聴きました。

その時は「へー、こんな感じなんだ」というくらいの印象しかありませんでした。

でも、どこか心の奥に引っかかっていました。

その数年後、ドビュッシーについて興味を持ち始めました。グラモフォンか何かのクラシック100選からドビュッシーピアノ曲集を買ってオリジナル版(ピアノ演奏)の月の光を聴き、結構気に入りました。ドビュッシーのいろいろな作品に興味を持ち始めました。

そのとき、「あ、以前冨田勲とかいう人のアレンジ版聴いたことある」と思い出して、たまたま玉光堂(札幌の人ならわかるはず)の某店で冨田さん版月の光のCDを売っていたので買って改めて聴くと、

「すごいな、このアレンジ。おそらくドビュッシー自身がシンセサイザーでアレンジしたらこんな感じに作るんじゃないか。」

と、冨田さんのイマジネーションのカッコよさにしびれたんです。

そのころ日本は景気良くて、冨田さんが屋外イベントで大掛かりなライブやっていたりて、音楽くわしくないながらも「冨田勲はすごい人」ってそのころから思っていました。

 そう考えると、35年前音楽の先生が通常のピアノ版「月の光」を授業で流していたら自分の音楽の趣向が変わっていたかもしれません。あるいは「昨日の冨田勲版月の光ってなんか神秘的だったけど、冨田勲って誰?」みたいことをこのブログで書いて、冨田勲さんに興味を持つのが35年遅れていたかもしれません。

いまさらながら、中学生の時に冨田勲版月の光を聴かせてくれた音楽の先生に感謝します。

誤解の無いよう書いておくと、月の光はピアノ版も冨田版も好きです。ついでにオーケストラ版やクラシックギター版(ソロやデュオ)の月の光もありますが、ドビュッシー作品はオリジナル版、アレンジ版どれも好きです。